建設系実習生の勤務時間設定を7時間と8時間どちらにすべきか

建設系実習生の給与設定

基本的な考え方

・現場は8:30~17:30(9時間拘束)

・休憩は30分休憩×2、1時間休憩×1の計2時間

・平日すべてと土曜日の週6日出勤

①1日8時間勤務、土日に出社した場合は25%増し(※土日はどちらか1日のみ)

※実際には9時間拘束2時間休憩で、実務7時間(1時間はみなし残業で基本給に組込む)

メリット:休憩時間がきっちり取れなかった、簡単な片づけ等で10分程度、仕事が遅くまでかかった際に、残業代の計算が不要。

②1日7時間勤務、土日に出社した場合は25%増し(※土日はどちらか1日のみ)

メリット:土日に出社した場合、2時間分(週42時間の為)のみが残業代計算で構わない。

日給が同じで7時間勤務と8時間勤務の土曜出勤の考え方

例)日給が7,000円の場合

①7時間勤務=時給:1,000円(割増1,250円)

土曜日:1,000円×5時間+1,250円×2時間=7,500円

②8時間勤務=時給:875円(割増:1,094円)

土曜日:1,094円×8時間=8,750円

単純計算すると、7時間勤務設定の方が、土曜出勤の給与が安い

建設系の実習生(月給)の残業代の計算方法

1日8時間設定だろうと、7時間設定だろうと、面接時は月給にした際の総支給、手取りで比較される。最低賃金以上の金額というルールの中、どちらの設定だとしても、実習生は総支給が高い会社を選択するし、入国後も周りの友達等と比較して、総支給が低いと、意欲の低下や文句が出てくる。

日給を同じ設定とした場合、

②は必然的に時給が①の8/7以上となる。

(例:1,013円×8/7=1,158円)

勤務時間はきっちり7時間なので、多少の残業にもこの時給の25%割増で計算が必要。

(例:1,158円×125%=1,448円)

1か月で平日21日+土曜日4日出勤、平日30分休憩が取れない日が4日あった場合

※月給170,184円(1,013円×168時間 or 1,158円×147時間)の場合

①-ⅰ 30分休憩が取れなかった分は残業として計算しない

①-ⅱ 土曜日は1,013円×125%×8時間×4日=40,520円

②-ⅰ 30分休憩が取れなかった分残業として1,158円×125%×0.5時間×4日=2,895円

②-ⅱ 土曜日は(1,158円×5時間+1,158×125%×2時間)×4日=34,740円

雇用契約書に起こした際の比較

条件①:日給は8,104円

条件②:月から金の週5日(月平均21日)、土曜日×4日/月の年間300日出勤

条件③:土曜出勤以外では残業は一切発生しない

8時間勤務(時給換算:1,013円)

月給:8,104円×21日=170,184円

残業:8,104円×125%×4日=40,520円

総支給=210,704円

7時間勤務(時給換算:1,158円)

月給:8,104×21日+1,158円×5時間×4日)=193,386円

残業:1,158円×125%×2時間×4日=11,580円

総支給=204,966円

募集時の雇用条件書には

8時間勤務:170,184円

7時間勤務:193,386円

と約23,000円高く記載できる。

※実習生から残業ありますかの質問には、7時間勤務の場合、少ししかないと答える必要有

実際の総支給では

8時間勤務:210,704円

7時間勤務:204,966円

と約6,000円/月の差が生じる。

これは、7時間勤務の設定の場合、土曜日の出勤の内、5時間分を基本給(契約時間)に組み込めることで、月給が高くなる。

また、土曜日の出勤を基本給に組み込んだことで、割増となるのは2時間分だけとなり、設定の時給が高くとも、残業代は少なくなる。

補足

① 日給換算が同じ場合、8時間設定の会社が7時間設定と変更する場合、年間の勤務時間は同じで時給は高くなるため、問題ない。

しかし、7時間設定の会社が8時間設定に変更する場合、時給が低くなるため不利益変更と問われる可能性が出てくる。

② 7時間のデメリット:もともと土曜を出社と捉えるので、週6日の仕事を確保できない場合、8時間設定をするより、休業補償が発生しやすい。

③ 7時間設定は、休憩等を2時間とる設定であり、時給が高くとも、休憩がきっちり2時間取りにくい現場や、残業が発生する現場、集合・解散時に掃除・荷物の積み下ろし等、現場以外で発生する時間に対し、残業代を求める実習生のケースが発生している。

結論

日給を同じとした場合、7時間設定とした方が、雇用契約書・条件書に記載する総支給・手取りが高くなるため、面接時に人が集まりやすくなり、同じ日数の土曜日出勤があった場合の支払いは安くなる為、受入企業にとって有利な材料が多い。

一方で、雇用契約上、土曜日の出勤を約束していることになり、必ず仕事を用意する必要がある。また、雇用契約と現場の実労働時間が同じ為、現場以外での作業等でサービス残業等が発生しないよう、時間管理もしくは残業代の支払いを正しく行う必要がある。

仕事量の調整・労務管理を正しく行える会社であれば、7時間勤務の設定を推奨する。

しかし、「募集時の月給は高かったのに、実際の手取りは友達の方が高い」という結果が生じることから、実習生から

「サービス残業を強要された」「有給休暇を取らせてくれない」「無理矢理休まされた」等の相談が上がってこないよう、コンプライアンスを重視していくことが大切だと考えられる。

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